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工房の挑戦!A

赤ちゃんの「脳の発達」をどう考えるか?
本物のおもちゃ作りとは何か? Text by 横井匠. 順調でなかった我が子の誕生を切っ掛けに、「親として何かしてやれることはない だろうか・・・」そんな親としての純粋な思いから、木のおもちゃを作り始めました。 そして「脳の発達」や、溢れ出る育児情報についても私達なりに考えてみました。 「お子さんの脳には出来るだけ早い時期から刺激を与えてあげましょう。」 「脳のシナプス数はどんどん減ってくる。だから、今!」 「生まれてから3歳までの時期は、人間の成長過程のうちもっとも重要な時期です。」 「天才作りは、0歳から!」 などという様々なキャッチコピー、育児情報があふれる中、私達もその影響を 受けかけたことも実際にありました。 生まれたばかりの赤ちゃんの脳の重さは体重の13〜14%にあたる300〜 400グラム。ところが生後8ヶ月の時点で約2倍になり、3歳で約3倍、5歳では 大人の脳とほぼ同じ重さにまで成長します。 この時期が育脳に大事な時期と言われるのもうなずけます。 ところが「脳の重さ=知能の発達」と単純に言えないのが脳の複雑な所です。 「脳が発達する」とは知能の発達を意味しますが、脳が大きく重くなることだけを 指して「脳の発達」ということではないのです。 確かに乳幼児期の、ある期間スポンジが水を吸収するように能力を獲得して いく時期があるとされています。 でも脳のネットワークはいくつになっても発達していくもの。 「この時期を逃しては!」と考えるあまり、子供が望まない早期教育を無理に やらせ、過剰な刺激を与え続けることのほうが、むしろ心配ともいえるのです。 文部省などが行った調査研究では、事例報告として、早期教育を厳しく行ったため に情緒障害を起こしてしまった子供が報告されていたり、日本と同じく早期教育の さかんな韓国から、早期教育が子供の発達に及ぼす弊害の可能性についての 報告書が出されているともいいます。 長期的に人が一生を送る中で、「早期教育の効果」については、実は何もはっきり したことが分かっていないというのが、現状なのでしょう。 私達の経験からも、赤ちゃんに必要な刺激というものは、実は日常生活の中にも 十分存在しているのだと思います。 カーペットを掃除する「コロコロ」をおもちゃとして、楽しそうに転がす我が子。 ティッシュペーパを見つけては、中の紙を次から次へと取り出して喜ぶ姿。 赤ちゃんは、今ある環境の中からも、自分の成長に必要な刺激を選び取って、 吸収し、大きくなっていくのかも知れません。 私達の子供の頃が、そうであったように、 「脳の発達」や「早期教育」的な育児情報に振り回されなくても、 授乳と身の回りのお世話、そして折にふれて目を見つめて、声を掛けたり、 だっこをしたり・・・。 そんなごく普通の子育てをしていれば、それでいいのではないでしょうか。 過剰な刺激を与えることが、子供の発達と捉えたおもちゃも、多く存在しますが、 一時の「流行り」や「派手さ」ではなく、「確実なもの」「手堅いもの」そして、 おもちゃを与える大人が「安心できること」も、何より大切なことであり、 「安全な素材」と「堅実な作り」をコンセプトに持つことが、本物のおもちゃ作り の第一歩だと私達は考えました。 参考文献 「子どもの脳の発達 臨界期・敏感期」講談社 「おもちゃが育てる空想の翼」学陽書房 「手のうごきと脳のはたらき」築地出版 「そのおもちゃ安全ですか」コモンズ 「赤ちゃんと脳科学」集英社 「リハビリ遊具を作る」大月出版 「赤ちゃん学を知っていますか?」新潮社 「AERA ウィズベビー」朝日新聞社 「早期教育と脳」光文社 「ニューズウィーク日本版 0歳からの教育」阪急コミュニケーション 「障害児のための手づくりおもちゃ」黎明書房 「おもちゃのフィールドノート」中央法規出版 「脳の発達と子どものからだ」築地出版 「きほんの遊び142」小学館 「チルチンびと」風土社 他



工房の挑戦!Bに続く