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工房の挑戦!@

順調でなかった我が子の誕生。
それが本物のおもちゃを目指す切っ掛けとなった Text by 横井匠. 木の仕事をしているのだから、子供が誕生すれば、いずれおもちゃは作って いた、とは思います。 でも、それだけでは上辺だけの中身がないものしか、作れていなかったかも しれない・・・。 我が子が「本物を作って欲しい・・・」と、僕に伝えたかったのだろうか・・・ 自らの身を削って・・・。 そんなことを考えさせられた、我が子の貴重な誕生でした。 ------------------------------------------------------------------------ すべてが初めての経験でした。我が子を持つということも、そして出産に立 ち会うということも・・・。 出産前日、夜9時過ぎの自宅。家内の破水から始まった我が子の誕生は、病 院の分娩室へ着くころには胎内の子供の心拍数が安定せずに、非常に危険で、 不安で、長い時間が流れていました。   ・   ・   ・ 難しい判断と、流れる時間・・・ すべてを先生に託す。 縋るような想いで・・・。   ・   ・   ・ そして 早朝4時28分、我が子は家内の身体から仮死状態にて誕生した・・・。 泣かない、動かない・・・ 慌しい分娩室。 急いで集中治療室に運ばれていく我が子・・・。 待機して下さっていた小児科の先生。 分娩室でふたり取り残される僕と家内。 訳のわからぬまま長い時間が流れていく・・・。   ・   ・   ・ 7時半。担当の先生及び小児科の先生から説明を受ける。 予断を許さない状況・・・。 死につながる可能性だって、後遺症を残してしまう可能性だって・・・ 今はある。 「何で・・・」と、心の中でつぶやく自分。 そして NICU(新生児特定集中治療室)の中で、我が子と再会する。 小さな身体には痛々しく気管にチューブがさされている。 それでも、時々唸るように、小さな声で泣いてくれる・・・。 「僕は生きてるぞー」とでも言ってるのだろうか・・・。 見守るしかない、無力な自分。 涙が流れる・・・。 全力を尽くして下さる先生と看護婦さん・・・。 人が息をすることも、 唾を飲み込むことも、 排尿することも・・・ 普段、当たり前に行っている1つ1つの生命活動。 それらが、どれ程偉大なことか・・・ 我が子から教わることとなる。 そして、今こうしてNICUの中で我が子が生きていられるのは、 日本の医療技術が優れているからだ。 先端の医療技術がなければ、きっと今頃、命を落としていただろう・・・ 確実に。 この病院、先生、看護婦さん・・・医療に携わるすべての人に、 心から感謝した。 時が流れ・・・ やっと退院の日がきた。 言葉には力がある。 子供にも、そして自分達にも、 「前向きな気持ちを忘れずに・・・」という願いを 込めて命名した。 身体が硬い・・・。 いつか歩いてくれる日が来るのだろうか・・・。 いつか話をすることができるのだろうか・・・。 心配は尽きない。 その答えなど、今は何処にもないのだから。 子供の力を、生命力を、今は信じるしかない・・・。 ”今”やれることを”今”やるしかない。 家では、家内が全力で子供と向き合ってくれている。 模索する日々・・・そんなある時、 「おもちゃと子供の成長には深い関係がある」ことを知る。 工房では、僕が子供のために、おもちゃの制作に着手し始める。 ただ普通に、健やかに育って欲しい・・・そんな願い、いや祈りを込めて・・・ こうして、私達は本物の木のおもちゃ作りを目指すこととなったのです。



工房の挑戦!Aに続く